真夏のオリオン
公開中の映画の原作らしい
真夏はさそり座でしょう?なぜにオリオン?その意味は?
タイトルが、小説の中であまりに大きな意味を持っているので
詳細は省くけれど、心に響く本。
電車の中でも涙をこらえることができず、困りました。
戦争ものはフィクションであれ、ノンフィクションであれ
かなりたくさん読んできたけれど、
やりきれないような、読後感ではないのがこの本のいいところ。
潜水艦イ-77号の艦長、倉本の人としての立ち振る舞いが
乗組員95人の運命に大きな大きな影響を与えつつ、
敵国であるアメリカ人艦長の心さえ動かすことに繋がる。
私が、第二次世界大戦時代を描いた本をよく読むのは
そこに生きた人々の、魂を感じたいからだ。
恵まれた現代社会のなかでは当たり前であることが当たり前でない時代。
命の尊さや生きることへの執念や自国への愛、
戦争の悲惨さは二度と繰り返してはならないけれど
あの時代を生きた人々が、不幸だけを背負っていたわけではないことを
この真夏のオリオンも教えてくれている。
持ち込み禁止のハーモニカを持って乗り込んだ船員への
倉本艦長の思いやりに胸が熱くなり
読み進めていくと
そのハーモニカが大事な場面で大事な役割を果たす。
こんな娯楽ものは禁止だと、ハーモニカを海に投げ捨てる艦長であったなら
イ-77号の運命も大きく変わったはずだ。
小説であるがためにきれいごとと言ってしまえる内容なのかもしれない。
映画がどう撮られているかも私はわからないけれど
真夏の太平洋に、ほんの一時見られる、オリオン座が
この本のラスト近くで私にも確かに見えた気がする。
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